【はゆのトンデモ地球論】その23

にゃむすきー はゆです

はゆのトンデモ地球論、第二十三回目です。
でも、読まれる前には注意があります。
はゆのトンでも地球論は第一回目から順番にお読みください(`・ω・´)

 →【はゆのトンデモ地球論】
















では、【はゆのトンデモ地球論】の第二十三回目に行きましょう♪

















まず初めに連想ゲームです。

「外来種」と聞いて連想する言葉は何ですか?

















恐らくは多くの方が、
「安定した生態系を脅かす存在」としての言葉を口にしたのではないだろうか。

海外から持ち込まれた外来種は在来種を押しのけ広がる。
そのため在来種は数を減らすことになる。
まさに、保全種の保護を訴える人たちや
またはそれに順ずる考えを持つ人たちには敵である。





しかし、その考えを自分の中で正しく消化して「敵」と判断しているだろうか?
今回はそのような話をしていきたいと思う。
今回のテーマは【自然から見た外来生物論A:交雑種】です。

















近年、外来種が引き起こす問題として言われるものに、
同系種の交雑により起こる遺伝子の撹乱が言われる。

交雑により起こる遺伝子の錯乱とはどういうことか。
この問題で一番身近に感じられるものとして、「タンポポ」を例に出そう。



外来種であるセイヨウタンポポが爆発的な広がりを見せ、
現在では日本各地へと広がっていることは既にご存知であると思うが、
このセイヨウタンポポが日本に存在する在来種のタンポポと交雑することにより、
セイヨウタンポポと在来種タンポポの間の子が生まれる事が報告されている。

間の子が生まれるということはDNAに新しいデータが書き込まれる事になる。
すなわち、元のDNAデータは掻き乱される。

そのため、保全種の保護を訴えるものからすれば、
在来種の元のデータが失われることになる為に恐怖を感じる。
これを遺伝子汚染などと言い方をするそうだ。

ここではタンポポを例に挙げたが、
野鳥、哺乳類、昆虫、植物、幅広い場面でそれが言われている。

そのため、「外来種」が「敵」であるとみなされているのである。

















さて、ここでこの交雑種問題について一つ考えてもらいたい。

外来種と在来種の交雑が起きることによって起きる問題。
これは飽く迄、人間主観で保全種を守る事にのみ指されているが、
これを「自然」と言う観点から見たときにはどのようになるのだろうか?

















例えばセイヨウタンポポと在来種タンポポだ。
在来種のタンポポとセイヨウタンポポはそれぞれ、
強い部分と弱い部分の両方を兼ね備えている。
ここでは簡潔に述べることにするが、
2種のタンポポの大まかな特徴を挙げると次の通りとなる。


在来種のタンポポは自家受粉しにくい事が言われる。
また、四季の変化に敏感で、夏の暑さを感じ、春の間しか花を咲かせない。
そのことによって十分にエネルギーを蓄積し、
種を熟成させ、秋の頃に発芽し、来年の春に花を咲かせる。

これに比べセイヨウタンポポは自家受粉を容易に行い、
夏の暑さに関係なく花を咲かせては実をつける。
種は風に乗り広く広がり、季節を関係なく、休眠せずに発芽する。
冬の寒さに弱い傾向にあるが、年中花を咲かせることで知られている。





実はこの2種のタンポポは住み分けを行っている。
自家受粉で広く広がるセイヨウタンポポはエネルギー的にも生態的にも弱いため、
他の植物が生息できないような荒地などではすぐに広がるが、
他の植物が多く生息している場所ではエネルギーが足りずに強く生息できない。

自家受粉できない在来種のタンポポは春の間だけしか花を咲かせない。
そのためエネルギーを多く溜め込む事ができる。
また、自家受粉でないため、
セイヨウタンポポに比べ生態的に強いDNAを持っていると言える。
荒地などではすぐに数を増やすセイヨウタンポポに取って変わられたが、
多くの植物が生息する草地では彼らが入って来れない為に自分の場所を確保している。


このとき、2種の間の子が出来ると言うことは、
胆略的に言えば、DNAが混在する事になれば、その両種の特徴を得る事になる。
すなわち、この「タンポポ」と言う植物のジャンルに置いて、
この2種の間の子と言われるタンポポは生態系的は強い種が生まれるといえる。
胆略的に言わなくても、少なくとも生態系の多様性は広がることになるのだ。

















どうだろうか?

果たして、外来種は敵であるのか?
果たして、外来種との交雑は遺伝子の撹乱と言えるだろうか?

















しかし、この手の話が出たとき、必ず言われることは
「新しいDNAを得た交雑種が新しい問題を引き起こす可能性がある」と言うことだ。
これは生態系連鎖と呼ばれるものだといえる。
生態系は必ずどこかに連結している。
一つの変化は多かれ少なかれ別のものに影響を与える。

しかし、これもまた自然の姿と言える。

過去に地球が生まれて、現在今このときまでに
想像を絶する種類の生き物が生まれ絶滅し、新たに生まれてきた事だろう。
例え安定期なるものを迎えていたとしても、「生物」は「生きている」のである。
新しい問題を引き起こすことは自然の中で当然の摂理なのだ。

日本語には次のような諺があるではないか。
「犬も歩けば棒にあたる」
生き物は必ず何かの行動を起こす。
それは多かれ少なかれ、何かに影響を起こす。
人間に安定に見えているものでも、地球には安定でないものもある、と言うことだ。

















ここまでの話を聞いてみて
あなたはその考えを自分の中で正しく消化して「敵」と判断していただろうか?
保全種と呼ばれる種のDNAがかき乱されると言う理由だけで
「敵」と判断していなかっただろうか?

あなたが守りたいものは「保全種」なのか
それともその「生態系」なのか
それともこの「地球」なのか

それとも「人間」なのか

















さて、もう一度、連想ゲームをしよう

「外来種」と聞いて連想する言葉は何ですか?
by mikenekohanten | 2007-04-20 21:30 | 雑談