【はゆのトンデモ地球論】番外編5

にゃろみあ はゆです♪

これは はゆのトンデモ地球論、番外編です。
ですが、後日トンデモ地球論本編に加えられる可能性があります。

 →【はゆのトンデモ地球論】

















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特定非営利活動法人どんぐりネットワークと呼ばれる団体が
毎月、「自然の中へ」と呼ばれる会報誌を発行している。

その会報誌の9月号(第25号)にコラムを書くことを依頼され、
私が書いたコラムが会報誌に掲載された。

今回はその本文中に書ききれなかった追記をここに記載しよう。






夕暮れがずいぶんと早くなってきて、
秋を感じる季節になりました。
それに伴いドングリランドの周辺でも
秋の夜長に無く虫の音色を聞く機会がずいぶんと増えてきました。
さて、秋の虫の歌で有名なのは「虫のこえ」です。


「虫のこえ」

 ①番
 あれ、マツムシが鳴いている。
 ちんちろちんちろ、ちんちろりん。
 あれ、スズムシも鳴き出した。
 りんりんりんりん、りいんりん。
 秋の夜長を鳴き通す、
 ああ、おもしろい虫のこえ

 ②番
 きりきりきりきりコオロギや。
 がちやがちやがちやがちやクツワムシ。
 あとからウマオイおいついて、
 ちよんちよんちよんちよん、すいつよん。
 秋の夜長を鳴き通す、
 ああ、おもしろい虫のこえ



この歌の歌詞の一部は、
1932年に当時の文部省によって書き換えられています。
②番の歌詞の「きりきりきりきり」の
後に続く歌詞は当初「キリギリス」でした。
しかし、今は「コオロギや」に書きなおされています。
一体どうしてでしょうか?

実はキリギリスは通常昼間に鳴く昆虫で、
「秋の夜長を鳴きとおす」ことはありません。
つまり、生態系的に歌詞として間違っていると言うのです。
ならば、作詞者が間違えていたのか・・・と言うとそうでもないようで、
古い昔はコオロギの事をキリギリスと呼んでいたようなのです。
例えば、百人一首などには

 「きりぎりすなくや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかもねん 藤原良経」

ともあり、霧の夜に鳴いている姿を詠んでいます。
また、漢字で書くとコオロギもキリギリスも「蟋蟀」と書くところからも
ずいぶん昔から混同され、間違われてきたとも容易に想像できそうです。

作者不明の「虫のこえ」と言う歌ですが、
生態系と今の呼び名を重視して
「きりきりきりきり コオロギや」と歌うのが良いか、
言葉遊びと語源を重視して
「きりきりきりきり キリギリス」と歌うのが良いのか。
皆様はどのように思われますか?

引用元:特定非営利活動法人どんぐりネットワーク会報「自然の中へ」第25号

















この「虫のこえ」の歌詞の書き換えにはもうひとつの説がある。
キリギリスの鳴き声だ。
キリギリスの鳴き声の聞きなし「チョンギース」である。
決して「キリキリ」とは鳴かない。

では、コオロギはどうかと言うと、種類によって違う。
一般的に数が多いエンマコオロギなどは「コロコロコロ」と鳴く。
コオロギと呼ばれるのも、その鳴き声からと言う説が一般的であるが、
コオロギは種類が多く、その鳴き声も多彩で、
コオロギと呼ばれる仲間には確かに「リリリ」や「キリリ」と鳴く個体もある。

なので、「コオロギや」に換えられたと言うのだ。



先のコラムにあげた説にせよ、この説にせよ、
現在の生態と名前にそぐわない為に変更になっていると言う訳だ。






ちなみにだが、「蟋蟀」と漢字で書く。
読みは「しっしゅつ」であるが、コオロギともキリギリスとも当てる。

漢字の意味を紐解くと
虫+悉(ことごとく)  虫+率(ひきいる)となるわけだが、
もっと昔は「鳴く虫の総称を蟋蟀としていた」と言う説もある事から、
数多くの固体が鳴き合っている姿を「悉く率いている虫」としたのかもしれない。
by mikenekohanten | 2008-09-09 17:32